左手のフォームも見直してみる


突然ですが、皆さんの左手のフォームはどうなっていますか?

ひょっとしてこんな風になっていませんか??

今から紹介するフォームはすべて悪いフォームです。

 

・手首が曲がっている

・指がこぶしを自然に握る動作線上にない

 

・人差し指の付け根がネックについている


まず、ギターを持つ前に手の最も効率的な動かし方を考えてみたいと思います。

ギターを弾くときの手の動きはこぶしを握る動きとほとんど同じですよね?

グーパーする感じです。

 

では、ギターを持たずにこぶしを握ってみてください。

恐らくこんな感じで握るのではないでしょうか?


 

こんな握り方はしないですよね??↓↓↓

 

②指に力が入っている


 

こんな握り方もしないですよね??↓↓↓

 

③手首が曲がっている


 

はたまたこんな握り方もしないですよね??↓↓↓

 

④手首が曲がっている


一度こういう風に握ってほしいのですが、どれも不自然でとても

握りにくいと感じませんか?

 

多くの方が手だけで握ると①のような握り方をするのですが、

ギターを持つと途端に②~④のような握り方をする人がいます。

 

それが最初に紹介したようなフォームです。

悪いフォームになってしまう原因はいろいろあるのですが、

一番の原因はギターそのものの位置が悪いせいです。

ギターの位置が悪いとその悪い位置に対して身体を合わせようと

するので変な身体の使い方になってしまいます。

 

例えば私はよく生徒にヘッドを高くあげるように、かつ前に出すように

言っています(下記写真参照)。

これが、ヘッドが低くかつ後ろにある(身体に近い位置)状態だと

手首が曲がりやすくなります。

 

これは実際にやってみると分かりますが、肘の位置よりもネックが

低くなると手首を曲げないと弾けなくなります。

そうなると最初に紹介したような悪いフォームのように手首が曲がってしまいます。

握り方で言うと③のような握り方をしていることになります。

 

逆に肘よりもネックを高い位置にすることで手首を曲げずに

楽に弾くことができます。

 

 

また、ロックやブルースをやっている人に多いフォームで、

最初に紹介した人差し指の根本をネックにつけるような

フォームで弾く人がいますが(実は私も昔そうでした)、

これは握り方でいうと④のように手首を横に向けるような

握り方になりがちです。

 

確かにこのフォームだとチョーキングがしやすいのですが、

終始このフォームで押し通すのはやめた方がいいでしょう。

やるとしてもチョーキングの時のみだけにしておくといいと思います。

 

この④のような手首の状態(手首が横に曲がっている)は

専門用語で尺側偏位(しゃくそくへんい)と呼ばれており、

身体の構造上よくない状態だと言われています。

 

理想は手首をまっすぐにした状態ですが、これは力を抜けば自然と

なると思います。こんな感じです。

 

ちなみに手の軸は実は小指側にあります(左写真の水色のライン)なので、この軸を曲げないようにすることで力を入れやすい状態にしておくことができます。

 

何かものを握るときって小指から握った方が力が入れやすくないですか?

あまり意識したことはないと思いますが、

例えば、懸垂をするときって小指側に力を入れますよね?なんとなく、太い親指や人差し指に軸があるようなような気がしますが、実は小指側に軸があるんです。

 

これは普段の生活でも活かせます。何かものを握るときは小指側を意識して握るとうまく力が入ります。

ついでに、日常生活の話をもう一つすると、現代の生活はこの尺側偏位に

なりやすいと言われています。

 

それは身の回りにあるものがそういう構造になっているからです。

例えば今、私はこの文章をパソコンで書いていますが、

一般的なパソコンのキーボードも尺側偏位になりやすいです。

それは、肩から腕が伸びてくるので、パソコンのキーボードに

手が到着するころには手はパソコンのスクリーンに対して

斜めの位置にきますよね?

 

手は斜めからきているのに一般的なキーボードのキーは

まっすぐに配列されていますよね?

斜めからきている手をキーに合わせてまっすぐにしようとするので

尺側偏位になります。

 

斜めからきているのに・・・

キーボードに合わせようとして尺側偏位に


 

実はこれを解決するキーボードがあるんです。

一般的にエルゴノミクスキーボードとか呼ばれていますが、

こんなキーボードです↓↓↓

マイクロソフト キーボード ワイヤレス/人間工学デザイン Sculpt Ergonomic Keyboard for Business USB Port 5KV-00006                                                                         

これ以外にも”エルゴ キーボード”等で検索すると色々でてきますよ。                                               

写真でも分かるようにキーが斜めに配置されています。

斜めに配置されていることで、尺側偏位が

起こりにくい構造になっているわけです。

 

 

キーボード以外にもスマホなどを持つときに手首を曲げて持っている人も

多いですよね。一度普段の生活で手首を曲げて使っていないか

注意してみるといいでしょう。

 

この状態で作業などをしていると最悪腱鞘炎になったりもしますのでご注意ください。

 

 

話がそれました。ギターの話に戻します。

人差し指の根本をネックにつけるフォームですが、

実はうまく手をポジショニングしてあげると、尺側偏位にはなりません。

それでも私はこのフォームはおすすめしません。

 

なぜか?

 

では、もう一度人差し指の根本をネックにつけた状態の写真をみてください。

よーく見るとわかるのですが、人差し指の根本をネックにつけることで

小指が伸びやすくなるのがわかるでしょうか?

小指が指板から遠のいていくイメージです。

 

小指ってただでさえ力が入らないですよね?

その力が入りにくい指を指板から遠ざけることで

余計に動きが悪く、弾きにくい状態になります。

 

これは薬指などに対してもそうです。

そもそもまっすぐな指板に対して斜めに指を配置すると

それぞれの指が均等に使えないですよね?

 

しかも、まだ動きが悪い小指などを優先させたフォームなら

いいのですが、このフォームは比較的動きのいい人差し指を

優先したフォームになっています。

 

ではどうすればいいのかというと、指板に対してまっすぐ

指を配置してあげるだけです。

もう少しいうと、小指側が軸なのを思い出して、小指側が

中心になっているという意識が持てるといいと思います。

 

それでは最後に私が考える理想的なフォームの写真を載せたいと思います。

正面:2弦を押さえている

正面:5弦を押さえている



側面:2弦を押さえている

側面:5弦を押さえている


チェックするポイントは以下の3点です。

・手首がまっすぐ

・指が自然に握りこむ動線上にある

・指板に対して指がまっすぐ配置されている(小指中心の意識)

 

2弦と5弦を押さえている2種類の写真を載せた意図は

どちらの弦を押さえている時も手の形が一緒なのを確認してほしいからです。

どちらもこぶしを自然に握れるような形になっていると思います。

なので、1、2弦辺りを弾くときはネックと手のひらの間には少し隙間ができます。

 

 

以上で左手のフォームについての解説は終わりです。

次項では左手の動作について説明していきますね。